借金返済を滞納していると、内容証明郵便で借金の一括請求書が送られてくることが多いです。内容証明郵便には「返済しないなら給料などを差押えます」などと書かれていることが多いですが、本当に給与差し押さえが行われることがあるのでしょうか?
また、給与差し押さえが起こったときには、どのように対処したら良いのかも問題です。
今回は、内容証明郵便で給与差し押さえ予告通知がきた場合の対処方法を解説します。

内容証明郵便とは?

借金返済を滞納していると、内容証明郵便という郵便によって、借金の一括返済請求書が送られてくることが多いです。内容証明郵便には「借金残金と遅延損害金の一括支払いを請求します。支払ができない場合には、給料などを強制執行します」などと書かれていることが通常です。
そもそも、内容証明郵便とは、どのようなものなのでしょうか?
内容証明郵便は、差出人の手元と郵便局に、相手に送ったものと同じ内容の控えが残るタイプの郵便です。このことにより、相手にどのような内容の郵便を送ったのかが証明できるので、「内容証明郵便」と言います。
内容証明郵便には「確定日付」が入るので、いつ相手に送ったのかも明らかにすることができます。
また、書留のような方法で、相手への手渡しになるので、ポスト投函はできません。
そこで、内容証明郵便が送られてきたら、郵便局員から直接内容証明郵便を手渡されることになります。
中身を見てみると、上記のように「給与差し押さえをする」などと書かれているので、債務者は仰天してしまう、ということが多いです。

内容証明郵便で差押えが起こるのか?

それでは、内容証明郵便によって本当に給料を差し押さえられることがあるのでしょうか?
実際に、内容証明郵便そのものには給料や預貯金などの財産を差し押さえることはできません。内容証明郵便は、単なる郵便だからです。
債権者が実際に差押えをするためには、いったん裁判を起こして判決を出してもらう必要があります。そこで、内容証明郵便を無視していると、消費者金融などから裁判を起こされて裁判所から呼出状が届くケースが多いです。
裁判で判決がでたら、その判決をもって、債権者は債務者に強制執行(差押え)をすることができるようになります。差押えの対象になるのは、給料を初めとして、預貯金や生命保険、不動産など債務者名義のあらゆる財産です。
そこで、判決が出てしばらくしたら、職場宛に裁判所から給料の差し押さえ通知が届いて実際に給料が差し押さえられてしまうことになります。

給与差し押さえではどのくらいの金額が取られるの?

給与差し押さえが起こったら、具体的にどのくらいの金額をとられるのでしょうか?
給料の場合、全額の差押えにはなりません。税金や健康保険料などを引いた残りが44万円以下の場合には、その4分の1が差し押さえられます。手取り44万円を超える場合には33万円を超える部分について全額が差押えの対象になります。
いったん差押えが起こると、取り下げがあるか差押えが中止・失効するまでの間、毎月給料を取られ続けることになります。

給与差し押さえが起こった場合の対処方法

給与差し押さえが起こった場合、債務整理によって解除することができます。
自己破産や個人再生を申し立てて、これらの手続き開始決定があると、当然に強制執行が中止されるからです。
また、自己破産や個人再生の手続き開始決定後は、あらたに差押えの申立をすることもできなくなります。
そこで、現に給与差し押さえが行われている場合には、なるべく早めに自己破産や個人再生することによって給与差し押さえを止める必要がありますし、債権者から内容証明郵便が届いていて「差押えをします」と予告されている場合にも、早めにこれらの手続きを申したてて、差押えができないようにすることが重要です。
自己破産や個人再生をする場合、自分一人で手続きするのは難しいので、弁護士に依頼する必要があります。
内容証明郵便が届いて給与差し押さえをされそうな人や、現に差押えを受けている人は、なるべく早めに弁護士に相談に行きましょう。