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結婚すると旧姓名義の借金はどうなるの?
結婚すると旧姓から新姓に変わり、信用情報から見れば全く新しい人物が誕生します。
そこで、旧姓名義で借りていた借金に関して次のように考えている方は少なくありません。
旧姓名義の借金について
- 名字を変更したから借金が帳消しになるのでは?
- 貸金業者から催促の電話や手紙が来なくなるのでは?
- 以前に債務整理をしたけれど旧姓を隠してローンやカードの申し込みができるのでは?
確かに、姓が変わると貸金業者からの請求が来なくなるケースがありますので、「このまま放置できないかな?」と思う人はいます。
しかし、旧制と新姓を結び付けることは可能で、債務者が結婚したとしても貸金業者はあらゆる手を駆使して情報を追跡するので注意が必要ですよ。
なぜ結婚して旧姓から新姓に変わっても借金や債務整理などの信用情報がバレてしまうのか、詳しい理由について見ていきましょう。
結婚して信用情報がバレる理由
- 以前までは結婚して債務者の名字が変わると金融機関は所在を把握できなくなった
- 現在では情報網の発達により、住民票や戸籍を辿って債務者の情報を把握できるようになった
- ローンやカードの申込書に旧姓欄を設けて申し込み者の情報掲示を求めている
「請求自体が来ない=借金が帳消しになる」というわけではありませんし、単に後回しにしているに過ぎません。
結婚しても旧姓の情報はいずれは知られてしまいますので、「逃げられるのでは?」「支払わなくても良いのでは?」と考えるのは間違いですね。
旧姓名義の借金を放置するデメリットは?
結婚して旧姓から新姓に変わっても、貸金業者に対してきちんと報告する義務が私たちにはあります。
契約書の中にも記載されていますし、貸金業者の借金から逃げることは絶対にできません。
しかし、結婚をしても引っ越して住所が変わって事実を報告しなくても、旧姓の借金の返済が滞っていなければ旧姓名義のまま契約を継続できます。
つまり、貸金業者へと新姓を知られることなく取引を終えて借金を完済でき、滞納せずに支払っている債務者に関しては住民票や戸籍を辿って徹底的に調べ上げることはないでしょう。
一方で返済を滞納している場合は注意しなければならず、旧姓名義の借金を放置して調査で旧姓と新姓を結び付けられると次のデメリットがあります。
旧姓名義の借金を放置するデメリット
- 個人の事故情報が信用情報機関へと登録されてブラックリストに載る
- 信用情報機関は相互に情報の交流を行っているので、新たな借り入れやクレジットカードの作成ができなくなる
- 支払いを放置すればするほど、最終的に遅延損害金が請求されて借金が増える
借金を返済日に返せない罰則として、「ブラックリストに載る」「電話や郵便で催促が届く」「給料や財産を差し押さえられる」「罰金の遅延損害金が発生する」という4つが代表的です。
遅延損害金に関しては結婚して旧姓から新姓に変わり、借金を放置した際にも該当しますので注意しなければなりませんよ。
遅延損害金の計算式は、「返済額×遅延損害金利率÷365(日)×延滞日数」となり、借金の総額が200万円で遅延損害金利率が20%の状態で1年間に渡って放置したとすると、40万円もプラスして支払う必要があります。
何の連絡も無しに借金を滞納した時点でブラックリストには載っている状態となりますので、旧姓名義の借金は結婚してからも継続して支払う義務があると心得ておいてください。
結婚前の旧姓名義の借金は時効の成立で支払う必要がなくなる?
消費者金融やカード会社からの借金は、貸金業者に関わらず時効が存在します。
「借りたお金を返さなくて良いなんて都合の良い話はない」と考えている方はいますが、時効が成立すれば1万円でも1,000万円でも支払いの義務から解放されるのが特徴ですね。
以下では、借金の時効が成立する条件をまとめてみました。
借金の時効が成立する条件
- 返済をしない状態が5年間~10年間続く(貸金業者から借りた場合は5年間、家族や友人から借りた場合は10年間)
- 時効の期間が経過してから貸主へと時効の制度を利用する旨を伝える(消滅時効援用の通知)
このような制度があると聞き、「結婚前の旧姓名義の借金は時効の成立で支払う必要がなくなるのでは?」と考えている方は少なくありません。
しかし、借金の時効の成立は現実的に不可能で、貸主は請求や申し立てで借金の時効を食い止めることができますし、5年間も債務者の借金を放置して何もアクションをして来ないケースは絶対にないのです。
結婚して旧姓から新姓に変わってもあらゆる方法で調べて所在を突き止めようとしますので、時効で借金から逃れるのは100%不可能だと心得ておきましょう。
旧姓名義の債務整理の情報は結婚後も残る?
現在では膨れ上がった借金を何とかするために、法律事務所へと相談して債務整理を行う方が増えました。
返済すべき借金が減額されたり、債務整理の方法によっては全てが帳消しになったりと様々なメリットがありますが、最低でも5年間は信用情報機関に事故情報として登録されます。
これは旧姓名義の債務整理でも全く一緒で、個人の信用情報は結婚後に旧姓から新姓に変わっても残るのが特徴ですよ。
信用情報に悪い履歴があると、どんなデメリットがあるのか見ていきましょう。
信用情報に悪い履歴がある際のデメリット
- クレジットカードを使ったキャッシングやショッピングができない
- 車や住宅など大きな買い物のローンを組むことができない
- スマホの分割払いができない
融資やお金の立替などを行う取引ができなくなり、延滞や任意整理など事故情報の傷によって消えるまでの期間は異なります。
つまり、旧姓名義で債務整理をして借金の減額をしたのにも関わらず、結婚後に名義変更の手続きを行って借入を繰り返すような真似をしていると詐欺罪として受け止められ兼ねないので注意すべきです。
結婚していなくても結婚していても、債務整理など専門的な内容は私たち素人には難しいのではないでしょうか。
借金に対して正しい対処ができないケースは多いので、借金が増えて悩んでいたり債務整理を考えたりしている方は法律事務所へと相談してみてください。