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借金をしている借主が死亡するとどうなる?
借金をしている借主が死亡した時に、残りの借金がどうなるのか疑問を抱えている方はいませんか?
「自分が借金をしていて死亡した時に子供へと返済義務がいくのか?」「両親や兄弟が借金をしていて死亡した時に自分が支払わなければならないのか?」といった問題は将来のことを考える上で重要ですよね。
債務が完済されていれば特に問題はないものの、多額の借金が残っていた場合に借主が死亡すると遺産扱いとなります。
つまり、遺産を相続するのかしないのか決めることができますので、相続破棄をすれば借金の返済義務が家族へと及ぶ心配はありません。
しかし、借主が死亡した時に貯金があるケースでは注意しなければならず、具体例を挙げて見ていきましょう。
遺産の相続に関する例
- 借主が死亡して500万円の貯金と1,000万円の借金があった
- 遺産相続で500万円だけ受け取って1,000万円の借金だけ破棄することはできない
- 遺産は両方を相続しなければならず、トータルで500万円の借金を背負う羽目となる
「マイナス分だけ破棄してプラス分を相続すれば万事解決なのでは?」と都合の良いことを考えている方は少なくありません。
貯金を相続しないのは勿体無いと考えるのが普通ですが、マイナスの遺産だけ相続しないことはできないので注意が必要ですよ。
そのため、借主が借金を残して死亡した場合、プラスの遺産と借金などのマイナスの遺産をトータルして相続するのかどうか考えてください。
借主が死亡すると連帯保証人が借金を返済しなければならないの?
借主が死亡した時に、連帯保証人が借金を返済しなければならないのか気になるところです。
一般的に保証人と連帯保証人は同じだと認識している方が多く、借金をした借主の保証をする立場なのには違いありません。
しかし、厳密に説明すると保証人と連帯保証人は異なり、「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」があるかどうかが違います。
保証人にはこの3つの権利が認められていて、それぞれどのような意味合いを指すのか見ていきましょう。
保証人の権利
- 催告の抗弁権:消費者金融など貸金業者が保証人の自分に対して借金の返済を請求した時に、主債務者に請求して欲しいと主張できる
- 検索の抗弁権:主債務者に返済資力があった時は、「自分ではなく主債務者の財産を差し押さえて欲しい」と主張できる
- 分別の利益:複数の保証人がいた時は借主に代わって返済する際に按分した金額だけを負担すれば良い(1,000万円の借金が残っていて保証人が5人いた場合は、1人200万円の負担で良い)
こういった権利が保証人にあるのに対して、連帯保証人になると一切認められません。
債務者に返済能力があっても、連帯保証人のところに請求しに来た場合に文句を言うことはできず、保証人よりも重い責任を課されるのが特徴ですね。
少し話がそれてしまいましたが、連帯保証人になっていると借金をしている借主が死亡した後も、代わりに返済する義務が課せられます。
返済義務が消滅しないのは、次のように連帯保証人の契約の仕組みに問題がありました。
連帯保証人の契約
- 債権者と連帯保証人の間の保証契約で成立する
- 主債務者と債権者の金銭消費貸借契約とは別になる
つまり、借主が借金を全て完済すれば「消滅における付従性」で保証債務も消滅するものの、死亡した場合は消えないのでそのまま引き継がれるのです。
借主が生きていても死亡していても債務は消滅しないため、連帯保証人になるのかどうかは慎重に決めなければなりませんよ。
借主の家族が遺産を相続すると連帯保証人に返済義務は残る?
借金をしていた借主が死亡し、その家族が遺産を相続すると借金の返済義務は家族に生じます。
この点に関しては上記で説明した遺産の相続が該当し、プラスの貯金もマイナスの借金も負担しなければならない仕組みです。
ただし、死亡した借主に多額の借金があって貯金などの資産で補えない場合、多くの家族は相続を破棄することが多いので連帯保証人が支払わなければならないケースが多いでしょう。
借主の借金の返済義務について
- 生きている間は借金の返済義務は借主に生じる
- 死亡した時は家族が遺産を相続するかどうかで決まる
- 遺産を相続すれば家族が借金を返済する必要がある
- 相続を破棄すると連帯保証人へと返済義務が生じる
上記の流れで借主が死亡した時の借金の返済義務者が変わりますので、連帯保証人をお願いされた時は以下の点をきちんと押さえておくべきです。
連帯保証人を依頼された時に押さえておくべきポイント
- 借り入れをする理由を詳しく聞く
- 借主の収入状況や支出を把握する
- 現在借り入れている金額を聞く
- 連帯保証に関する契約種類を把握する
お互いの関係によっては聞きにくい部分も少なからずあるものの、「経済状況が悪いと感じた」「何か怪しいと感じた」という場合は連帯保証人を断ってください。
連帯保証債務の支払いが難しい時は債務整理をしよう
借主が死亡して返済義務が連帯保証人である自分に行き渡り、連帯保証債務の支払いが難しい時は法律事務所へと相談して債務整理をすべきです。
借金の金額があまりにも大きいと、次の債務整理手続きをしなければなりません。
借金が膨れ上がった時の債務整理
- 自己破産:裁判所に「破産申立書」を提出し、全ての借金をゼロにする免責許可を受け取る
- 個人民事再生:住宅などの財産を維持したまま減額された借金を分割で返していく手続き
- 任意整理:取引開始時にさかのぼって利息制限法の上限金利に引き下げて借金を整理する方法
債務整理の方法には幾つかの種類がありますが、素人では自分に合ったやり方や方法を把握するのは難しいのではないでしょうか。
自力で債務整理をして失敗するケースは少なくないので、連帯保証債務の支払いが難しい時も自分一人の力で解決しようとせずに、その道のプロである法律事務所へと相談した方が良いですね。
法律事務所ではあなたの借金状況や収入状況に合わせて借金を減らすサポートをしてくれます。
都心部を中心に様々な法律事務所がありますので、債務整理で困ってしまった時は気軽に問い合わせてみてください。