サラ金などで借金がかさんでくると、支払いができなくなって裁判をされてしまいます。放っておくと、毎月の給料を差し押さえられてしまうことがあるので、注意が必要です。借金滞納で給与差し押さえを受けてしまったら、どのように対処すれば良いのでしょうか?
今回は、借金滞納で給与差し押さえを受けた場合に債務整理で解決する方法について、解説します。
借金を滞納すると給与差し押さえをされる
借金を滞納すると、サラ金やカード会社から電話がかかってきたり、葉書や封書で督促状が届いたりすることが有名ですが、それでも放置していたら、給与差し押さえをされることがあります。
消費者金融などからの督促電話や督促状を無視していると、内容証明郵便で一括請求書が送られてきますが、それでも放置していたら、今度は裁判を起こされてしまいます。
裁判が起こると、裁判所が支払い命令の判決を下してしまいます。判決も一括支払い命令となりますが、その支払いができないなら、債権者は債務者の財産を強制執行してしまいます。強制執行とは、いわゆる差押えのことです。差押えの対象になるのは、預貯金や不動産、株券、生命保険などのあらゆる種類の財産ですが、債務者の給料も差押えの対象になります。
給料を差し押さえられたら、毎月の給料の手取り額の4分の1か、33万円を超える部分を債権者にとられてしまうので、大きな痛手となりますし、会社にも借金問題を知られてしまいます。
給与差し押さえを止める効果のある債務整理方法
給与差し押さえを受けると生活への影響も大きいですが、いったん差押えに遭ってしまったら、どのような対処をすることができるのでしょうか?
この場合、債務整理が非常に有効な対策方法になるので、以下でその理由を説明します。
個人再生
給与差し押さえに効果的な債務整理方法として、個人再生があります。個人再生は、裁判所に申立をして、借金の返済金額を大きく減らしてもらう方法です。
個人再生をすると、その後、差押えなどの強制執行を中止してもらうことができます。
具体的には、個人再生の手続き開始決定前なら、「強制執行中止命令の申立」をすれば止められますし、手続き開始決定が出た後なら、当然に強制執行が中止されます。
ただ、差押えを一時停止しても、自分の手元に給料が返ってくるわけではなく、給料は会社にプールされ続けます。そして、個人再生の手続きが全部終了したら、まとめて給料の返還を受けることができます。
先に給料を全額受け取りたい場合には、個人再生手続き中に「強制執行取消の申立」という手続きをすると、裁判所の判断により、差押えが取り消されて給料が全額支払われるようになります。
自己破産
給与差し押さえに有効な債務整理方法の2つ目は、自己破産です。
自己破産をすると、税金などの一部の債務以外のすべての債務を0にしてもらえるので、大きなメリットがありますが、実は、それ以外にも強制執行を止めるというメリットもあるのです。
自己破産には、簡単な手続きである同時廃止と、複雑な手続きである管財事件があります。
管財事件なら、破産手続開始決定があると、当然に強制執行が失効するので、給料をすぐに全額受け取れるようになります。同時廃止の場合には、破産手続開始決定により、強制執行が中止されるので、個人再生の場合と同じように給料の一部が会社にプールされるようになって、最終的に免責がおりたら、それまでプールされていた給料を、まとめて受けとることができます。
また、同時廃止の場合でも、手続き中に強制執行取消の申立をして認められたら、全額の給料を受け取れるようになります。
手続き開始決定後は、新たな差押えができなくなる!
このように、個人再生や自己破産をすると、いったん給与差し押さえが起こっていてもそれを止めることができるので、非常に効果的な対処方法となりますが、実は、それ以外にも有効な差押え対策となるポイントがあります。
それは、個人再生や自己破産をしてそれぞれの手続き開始決定があると、その後は新たに差押えやその他の強制執行の申立をすることができなくなることです。
そこで、すでに借金を滞納しており、債権者から裁判を起こされて差押え予告通知などが届いている場合、早めに個人再生や自己破産をすると、その後は差押えをすることができなくなって、大切な資産を守ることができます。こうして事前に予防しておけば、会社に借金がバレる心配もありませんし、家族にも迷惑をかけずに済みます。
以上のように、借金返済を滞納して給与差し押さえが起こった場合や、これから差押えをされそうな場合には、個人再生や自己破産が非常に効果的な対策方法となります。
差押えを止めてもらえるのは、これらの手続きを申し立てた後なので、手続きするなら早ければ早いほうが良いです。
自己破産や個人再生を自分一人で手続きを進めるのは難しいので、困ったときには弁護士や司法書士に相談をしましょう。