自己破産や個人再生をすると、借金を大きく減らしてもらったり免除してもらったりすることができるので、大きなメリットがありますが、これらの手続きを利用すると、「官報公告」が行われることが知られています。官報公告とはどのようなことで、これによって周囲に借金がバレてしまうことはあるのでしょうか?
今回は、自己破産や個人再生の官報公告について、解説します。

官報公告とは

自己破産や個人再生をすると行われるという「官報公告」。かなり耳慣れない言葉ですが、どのようなことなのでしょうか?
これは、政府が発行している新聞のような「官報」という機関誌に、債務者の情報が掲載されてしまうことです。
官報は、毎日発行されていて、法令や条約などの情報や裁判所の事件に関する情報が載っています。
そして、個人再生や自己破産をすると、債務者についての以下の情報が掲載されます。

  • 氏名
  • 住所(手続き開始決定時)
  • 手続き開始決定の日時
  • 債権者集会の日時、場所
  • 決定の内容(破産手続開始決定、など)
  • 破産管財人の氏名、住所(選任された場合)

債務者の「電話番号」や「メールアドレス」、家族に関する情報などは掲載されません。

官報公告のタイミング

それでは、官報公告のタイミングはいつになるのでしょうか?
これについては、自己破産と個人再生の場合とで異なります。

自己破産の場合

  1. 破産手続開始決定時
  2. 免責決定時

の2回です。

個人再生の場合

  1. 個人再生手続き開始決定時
  2. 書面決議に付する決定時
  3. 再生計画認可決定時

の3回です。
それぞれ、これらの決定があってから2週間くらい経ってから官報公告が行われます。

官報を閲覧する方法

ここまで読んだら、自分でも官報を見てみたい、と思った人がいると思います。そこで、以下では官報を閲覧する方法をご紹介します。
いくつかありますが、もっとも手っ取り早くておすすめの方法は、インターネット上の官報閲覧サービスを利用する方法です。https://kanpou.npb.go.jp/
無料で閲覧できるのは直近30日分で、日付を指定すれば、その日の官報を見ることができます。内容の検索もできますが、その場合には、有料になります。また、定期購読の申込も可能です。
ネット以外の方法としては、役所などに官報が置かれていることもありますし、官報販売所で購入することもできます。
また、国立国会図書館には官報が永久保存されていますし、その他の図書館でも、一部の官報を閲覧することができます。

官報を読んでいる人って?

今まで、官報など見たこともないし、聞いたことすらなかった、という人が多いでしょう。実際、官報を読んでいるのはどのような人なのでしょうか?
官報は、全くおもしろみのないものですので、読んでいる人は極めて限られます。具体的には、闇金業者や不動産業者、信用情報期間、市区町村役場くらいです。
闇金業者は、自己破産や個人再生をした債務者にお金を貸し付けて儲けようと考えているため、官報の情報をチェックして債務者の情報を集めています。不動産業者は破産者の不動産売却に関わってもうけるため、市町村役場は破産者情報をチェックするため、信用情報期間は、官報公告された人の情報を登録するために官報をチェックします。

官報公告で、周囲に借金がバレる?

それでは、官報公告されると、周囲に借金がバレることはあるのでしょうか?
この点については、ほとんど心配要りません。一般の普通の人で、官報を読んでいる人はほとんどいないからです。大多数の人は、官報の存在すら知りませんし「官報」という言葉を聞いたことがない人がほとんどです。
あなたの家族や職場の人に「官報って知ってる?」と聞いたら、「何それ?」という返答が返ってくるでしょう。
官報公告によって家族や会社、知り合いや友人、親戚などの人に借金を知られるという理由で、破産や個人再生を躊躇する必要はありません。

官報公告のデメリットは?

官報公告にデメリットはないのでしょうか?
最も大きいのは、ヤミ金からDMが届くことです。先にも説明した通り、ヤミ金は、官報の破産者や個人再生の債務者の情報を調べて、顧客集めに利用しています。
そこで、こうした債務者に対し、借金を誘うDMを送りつけて、債務者が連絡してくるのを待っています。破産や個人再生をするとブラックリスト状態になってまともな貸金業者からは借り入れが出来なくなるので、どうしても一定数の人は、こうしたヤミ金からの誘いに引っかかってしまうのです。しかし、ヤミ金に手を出してしまったら、せっかく債務整理をして借金問題を解決したことがすべて無駄になります。
破産や個人再生をしたら、ヤミ金はもちろんのこと、その他の借金についても、その後は絶対に利用しないことが大切です。

以上のように、官報公告によって、周囲に借金を知られる心配はほとんどありません。借金返済が苦しいなら、躊躇せずに弁護士に依頼して、債務整理をすすめましょう。